次の日の昼休み、私はいつも通り桜子と一緒に教室でお弁当を食べていた。 

「で、亜澄。『セン』くん……じゃない、千早くんとは昨日どうだったの!?」

 お弁当を広げたらすぐに、桜子が勢いよく尋ねてくる。

「えっ、どうって……。まだ千早くんとは一緒に帰っただけだけど」

「だから、それがどんな感触だったの!?」

「えーとね……」

 昨日のことを振り返って一番先に出てくるのは、やっぱり。

『毎日でも「好き」って言うから、覚悟しといて』

 容赦のない、千早くんのその一言だ。

 鮮明に脳内に蘇らせたら、心臓がまたドキドキしてしまった。

 だけどこんなことを正直に言ったら、桜子のテンションは爆上がり間違いなし。

ますます「早く付き合っちゃいなよー!」なんて言ってくるだろう。

 まだ落ち着いてゆっくり考えたい私は、とりあえずこう答えた。

「う、うん。学校のこととか趣味のこととか、いろいろ楽しく話ができたよ。今日も一緒に帰るんだ」

 決して嘘をついているわけじゃない。

 千早くんとの会話が楽しかったのは事実だ。

 その後の衝撃発言は、やっぱり言い出せないけれど……。