家についてからしばらくしても、さっきの千早くんの振る舞いが思い出されて、なんだか浮足立っていた。

 リビングのソファの上でなんとなく体育座りになってぼんやりしていると。

「ねーちゃん、何ニヤニヤしてんの? キモいよ」

 麗奈が、苦笑いをしながら私に言ってきた。

 えっ、麗奈いつの間に帰ってきてたの!?

 麗奈が帰宅していたことすら気が付かないくらい、私は心ここにあらずだったらしい。

 ――しかも。

「えっ、私ニヤニヤなんてしてた⁉」

 にやけている自覚なんてまったくなかった私は、驚いて尋ねる。

 すると麗奈は呆れたように答える。

「え、めっちゃしまくってたけど。下手すると不審者レベルだったよ」

「そ、そんなにキモかった……?」

「あは、それは冗談だけど。なんかいいことでもあった?」

 いいこと?

 私にとっては、いいことだったのかなあ。

 確かに千早くんと学校のことや園芸のことを話すのは楽しかったし、それはいいことだったけれど。

 でも、今頭をいっぱいにしていたのは、千早くんが「毎日でも『好き』って言うから、覚悟しといて」って言ったことについてだ。