千早くんと一緒に帰る約束をした、その次の日のこと。

 退屈な授業中、ふと窓の外を見ると。

 千早くんのクラスが、体育でソフトボールをしていた。

 千早くんがピッチャーをやっている姿が見えて、自然と私は釘付けになる。

 ほんのり茶色の髪は地毛なのだろうか、太陽の光に当たってつやつやと輝いていた。

 そんな髪を爽やかに靡かせながら、千早くんはボールをキャッチャーめがけて投げる。

 は、早い……!

 千早くんが投げた球は、目にも止まらぬ速さだった。

 バッターは振り遅れるし、キャッチャーの子もかろうじて取れているような雰囲気だ。

 もし私がバッターボックスに立っていたら、あまりの速さでバットを振ることもできないだろう。

 その後も次々と三振を奪っていく千早くん。

 バッターは誰一人、球をかすることもできずあっけなくチェンジになってしまった。

 すごい、千早くんって運動神経もいいんだ。

 理数科は普通科より偏差値が高いから、校内では頭のいい人の集団という認識で通っている。

 だから千早くんはきっと勉強が得意なはず。