千早くんは、容赦が無い

「苺を見てかわいく笑って、一番おいしいとこ!って主張する『ちぇりー』が食べた方が苺も嬉しいって。だから、遠慮しないで」

 相変わらず爽やかな笑みを向けて言う。

 っていうか、また「かわいい」って言ったよ「セン」くん……。

 こんな短時間であっさり二回も女の子を自然と褒めちゃうなんて。

 それにすごく優しいし、理数科ではさぞモテるんだろうなあ……。

 その後私たちは、共通の話題である学校のことについて話した。

 それぞれの科の様子や、ふたりとも知っている先生のこと、学食のこと。

 センくんは最初の印象通り、正直な物言いをするタイプだった。
 
 そして常に面白い言い回しをする。

「古文はいつも開始五分以内で寝ちゃうんだよな。先生が催眠音波を発してるんじゃないかって思ってる」とか、「理数科のみんなは個性的で楽しい。アニメオタクの友達とよく盛り上がってる~」とか、いちいち面白くて、会話していてとても楽しかった。

 お腹を抱えて笑ってしまう場面もあった。

 いつの間にか私は、最初に感じていた緊張なんて忘れて、「セン」くんとの会話を楽しんでいた。

 ――だけど。