千早くんは、容赦が無い

 そんなことを思っていると、店員さんが注文した本日のケーキセットを持ってきた。

 本日のケーキは苺のショートケーキだったようで、大きな苺がケーキの上でみずみずしく光っている。

「おいしそう!」

 苺が大好物の私は、つい嬉しくなって弾んだ声を上げた。

 すると、「セン」くんがこう尋ねる。

「苺好きなの?」

「うん、大好き!」

「『ちぇりー』、初めて笑ったね」

「え……?」

 意外な指摘を受けて、私は戸惑う。

 「セン」くんは微笑んだまま、こう続ける。

「今までめっちゃガチガチに緊張してたじゃん。でも苺がよっぽど好きなんだなー。今だけは緊張解けて自然に笑ってるみたい」

 言われてみれば、苺に心を奪われたせいか心臓のうるさい音はいつの間に止んでいた。

「あはは……。なんか、苺まっしぐらって感じでごめんね」

 曖昧に笑って私がそう言うと。

「いいじゃん。なんだかそういうのかわいい」

 「セン」くんはさらりととんでもないことを言うと、セットについていた紅茶を飲み始めた。

 か、かわいいって言ったよね今……?