千早くんは、容赦が無い

 そう考えると桜子の本名なんかは明かさない方がいいと思ったけれど、学年くらいなら答えても大丈夫……だよね。

「なら俺と一緒だ」

 少し嬉しそうに「セン」くんは言った。

 その反応に少し罪悪感を覚えてしまう私。

 とにかく早くやり過ごそう……。

「そ、そうなんだ。あれ、でも同じ学年なのに初めて会った気がする。もしかして『セン』くんって理数科だったりする?」

 私の学校には普通科と理数科がある。

 そして普通科と理数科は校舎が別々だし、合同の授業も無いので、全校集会や体育祭くらいでしか、交流が無い。

「うん、俺は理数科。ってことは『ちぇりー』は普通科なんだね」

「そうだよ」

 『セン』くんも私のことを見たことがないみたいだ。

 あれ、でもよく見ると会ったことがあるような……?

 改めて真正面から「セン」くんの顔を見たら、なんとなく見覚えがあったような気がした。

 うーん、でもこんな爽やかイケメンと関わったことがあったら、絶対に忘れないよね。

一応同じ学校なんだし、どこかですれ違ったくらいはあるんだろうな。