「来てくれて嬉しい。とりあえず、何か頼もっか」

「そ、そうだね」

 動揺している私とは対照的に、「セン」くんは微笑みながらとても落ち着いた様子で話している。

 ひー、佇まいまでイケメンだよ。

 桜子が知ったら喜ぶだろうなあ。

 とにかく私は、少し「セン」くんと話したらボロが出る前に帰ろう……。

 「セン」くんが「俺は本日のケーキセットにするけど、『ちぇりー』はどうする?」と尋ねてきたので、私は彼と同じセットを注文することにした。

「『ちぇりー』、もしかして二年生?」

 ケーキセットが来るのを待っている間、センくんが私に尋ねてきた。

「……うん」

 少し迷ったけれど、私は素直に答える。

 桜子は涼介くんと付き合っている間は、「セン」くんとは会わないだろう。

 それに桜子は涼介くんに好意を抱き始めている印象があったので、たぶん長く付き合うことになりそうだと私は予想している。

 そうなると、桜子と「セン」くんが今後会う機会はきっと訪れないはず。

 だから桜子も私に身代わりを頼んだんだと思う。