「まー、いつまでも落ち込んでるなんて俺らしくないじゃん。千早は確かにやさぐれてた時期はあったけれど、元々のあいつがいいやつだったことはもちろん知ってるし。千早なら、亜澄を大切にしてくれんだろ!」

「陸……」

 いつも元気で明るい陸らしい言葉で、わたしたちふたりを認めてくれるようなことを言ってくれて、私はとても嬉しくなった。

「ありがとう、陸」

「別に礼を言われることはしてねーじゃん。……ってか、なんだかよそよそしい態度取っちゃってごめんな」

「ううん。……私のこと心配してくれて、嬉しかったよ。陸はいつも優しいよね」

 そう言うと、陸はなぜか顔を赤らめて目を逸らす。

 私が怪訝に思ってると。

「……そういうこと言うなよな。諦められなくなんじゃん」

「え?」

 陸の言っている意味が分からず、私は首を傾げる。――すると。

「亜澄、おはよ」

 背後からポン、と肩を叩かれた。

 大好きで大好きでたまらない爽やかな声が聞こえて、私は振り返る前から笑顔になってしまう。

「千早くん! おはよっ」

 弾んだ声で挨拶をし返す私。