千早くんは、容赦が無い

 横顔をちらりと盗み見ると、とても上機嫌そうな顔をしていた。

 私が思っているような、深刻な話をしに来たようには見えない。

 でも、それならなんで私を追いかけてきたのだろう?

 気になったけれど、聞くのが怖い。

 だから私は、黙って雑草を抜き進める。

 その間、千早くんは「でっかいの抜けた」とか言ったり、鼻歌を歌ったりしながら、一緒に作業をしてくれた。

 本当に、いつも通りの千早くんだった。

 そして、花壇内の雑草が大方抜き終ると。

 千早くんは額に浮かんだ汗を腕で拭って、満足そうにこう言った。

「ふー、こんなもんでいっか」

「ち、千早くん。ありがと……」

 私はたどたどしく礼を言う。

 どんな顔をしたらいいのか分からない。

 すると千早くんは私の方を見て目を細め、ひどく優しく微笑んだ。

 ドキリとして、状況も忘れて彼に見惚れてしまう私。

 ――すると。

「ねえ、実は俺さ。亜澄のこと、『ちぇりー』として出会う前から好きだったんだ」

 相変わらず私を見つめながら、ゆっくりと千早くんは言った。

 一瞬、彼が何を言っているのか私には理解できなかった。