「うん。今まで全力でやっていたことが突然奪われちゃってさ。なんかもう俺、無気力になっちゃって。すべてのことがどうでもいいって思うようになっちゃって。サッカー部のみんなはいい奴らだったから心配かけるのが嫌だったから、事故に遭ったことも言えなくて……。もうどうにでもなれって、学校さぼったり夜中うろついたりしてたんだ」
「……そうだったんだね」
やっとわかった。
千早くんがサッカー部を辞めて、荒れてしまった理由が。
でも、そんな目に遭ったら自暴自棄になってしまうのもわかる気がした。
一番大切だったものをある日突然奪われてしまって。
きっと、これからどうしたらいいのか、どうやって生きていけばいいのか、千早くんは分からなかったんだろう。
「でさ、そんな自分の過去を俺は亜澄に知られたくなかったんだ。亜澄に嫌われる気がして……」
千早くんは、らしくもなく自信なさそうに言った。
桜子も「千早くんが急に亜澄を避け出したのは、自分が亜澄にふさわしくないって思うようになったんじゃないかな」なんてことを言っていた。
――だけど、私は。
「……そうだったんだね」
やっとわかった。
千早くんがサッカー部を辞めて、荒れてしまった理由が。
でも、そんな目に遭ったら自暴自棄になってしまうのもわかる気がした。
一番大切だったものをある日突然奪われてしまって。
きっと、これからどうしたらいいのか、どうやって生きていけばいいのか、千早くんは分からなかったんだろう。
「でさ、そんな自分の過去を俺は亜澄に知られたくなかったんだ。亜澄に嫌われる気がして……」
千早くんは、らしくもなく自信なさそうに言った。
桜子も「千早くんが急に亜澄を避け出したのは、自分が亜澄にふさわしくないって思うようになったんじゃないかな」なんてことを言っていた。
――だけど、私は。



