「そっかー。じゃ、たぶん俺の噂全部聞いてるよな」

 千早くんは寂しげに笑う。

「噂……。陸から聞いてたのは、去年千早くんがサッカー部を辞めてから金髪にしてたとか学校をさぼるようになったとか……」

「悪い仲間とつるんでたとか、だろ?」

 私はちょっと迷ったけれど、恐る恐る頷いた。

 千早くんはきっと私に知られたくなかっただろうから。

 だけど嘘はつきたくなかったから、正直に肯定したんだ。

 そして、私はこう続けた。

「あのね、千早くん。陸の言っている去年の千早くんが、どうしても私の知っている千早くんと一致しなくて。はじめは陸がでたらめ言ってるんじゃないかって私は思ったの」

「……そっか」

「だけど陸は嘘をつくような人じゃないし。噂は本当にあったのかなって私も思ってしまったんだけど……」

「…………」

「でもさ、何か理由があったんでしょ? 千早くん」

 私は千早くんをじっと見つめて、はっきりと言った。

 千早くんは驚いたようで、目を見開く。