自分を奮い立たせようとする私だったけれど、いざ千早くんが目の前にいると、体が震えてしまってどうしても言葉が出せなかった。

 ――すると。

「あのさ、俺やっぱり亜澄が好きだよ」

 千早くんがじっと私を見て、はっきりとそう告げた。

「えっ……」

 私は驚きの声を漏らしてしまう。

 確かに、前々から千早くんは会うたびに私にそう言ってくれた。

 だけど最近の千早くんの行動から、もしかしたらもうそうじゃないかも……って私は思っていたから。

 またこのタイミングで告白されたことに、私は虚を衝かれてしまったんだ。

「ありがとう、千早くん。でも、それならどうして――」

「俺が亜澄を避けるようになったのかって?」

「……うん」

 私の言わんとしていることを分かっていた千早くん。

 私が頷くと、千早くんはサッカー部の方を目を細めて眺めながら、こう続けた。

「もしかしたら陸から聞いてるかもしれないけどさ。俺、一年生の時サッカー部だったんだよね」

「……うん、聞いたよ。私と陸は家が近所で、幼馴染なんだよね」

「マジ? じゃ結構仲いいのかな」

「うん。昔から仲のいい、友達」