放課後になって、私は恐る恐る花壇の方へと向かった。

　いつもは少しの緊張とわくわくした気持ちで向かっていた、千早くんとの待ち合わせ場所。

　だけど今回は、ただ緊張ばっかりで私の足取りは重い。

　向かっている途中にやっぱり逃げ出したい衝動に一瞬駆られたけれど、私は勇気を振り絞って進む。

　ちゃんと千早くんに言うんだもん、「好き」って。

　例え受け入れられなかったとしても。

　そんなこんなで、私が花壇にたどり着くと。

「……千早くん」

　彼はすでにいて、花壇のへりに腰を下ろしていた。

　そして私の方を見て、緩く微笑む。

　その表情はいつもとあまり変わらないように一瞬見えたけれど。

　どことなく、元気がない気がした。

「亜澄。……ちょっと久しぶり」

「……うん。来てくれてありがとう」

　そう言うと、私は千早くんの隣に座る。

　その後しばらくの間、お互いに言葉が出て来なくって。

　校庭で練習しているサッカー部員たちの声が少し遠くに聞こえてくる。

　な、何してんの私。

　ちゃんと自分の気持ちを伝えるって決めたじゃん！