これ以上、好きにさせないで欲しいよ……。

 なんて密かに思っていると。

「いやー、本当によかったよ。亜澄、麗奈ちゃんのことめっちゃ心配してたもんな。まるで自分のことみたいにさ」

「……うん。私と麗奈、仲いいから」

「だろうね。ほんと、昨日はマジで亜澄思いつめた顔してたもん」

「えっ……!? そんなに?」

 確かに昨日は、麗奈のことを考えていたら千早くんに「何か心配なことでもあんの?」って突っ込まれて、事情を説明することになったんだけど。

 そこまで深刻な表情になっていたつもりはなかったから、私は驚いた。

「あー、俺にはそう見えたんだよね。周りの人は気づかないかも」

「……千早くんは何で気づくの?」

 不思議に思って私が尋ねる。

 千早くんは雑草を抜きながら、何気ない口調でこう答えた。

「ま、昔から見てるしさ。だから亜澄が人に優しいってのも、知ってるし」

「え……?」

 昔って?

 千早くん、どういうこと?

 昔って、いつのことなの?

 「アオハル」で「ちぇりー」と「セン」っていう名前で、連絡を取り合っていたときのこと?

 それとも……?