千早くんは「結構生えてんなー」とか言いながら、雑草を抜き始める。

 それ以上私は何を言ったらいいのかわからなくなってしまう。

 いつも、千早くんと何を話していたんだっけ……?

 自然に会話ができていた気がするのに、「私はこの人が好きなんだ」っていう気持ちが根底にあると思うと、どうもうまく言葉が出てこない。

 ……あっ!

 そうだ、麗奈のこと。

 ちゃんと伝えないと。

「千早くん。麗奈昨日、部活でちゃんと練習できたんだって。例の先輩はやっぱりいろいろ言ってきたみたいだけど、もうあんまり気にならなかった!って喜んでたよ。千早くんありがとうって麗奈も言ってた!」

 このことについては私も本当に感謝しているし、麗奈にも「千早くんにもお礼を言っておいてね」と言われていた。

 だから千早くんへの恋心をあまり気にせずに、言葉が出てきた。

 すると千早くんは口角を上げて、雑草を抜きながらこう言った。

「おー、よかったねー」

 千早くんのおかげだというに、やっぱり本人はそんな風には思っていないみたいで、ただ嬉しそうに。

 もう、そういうところもかっこいんだってば。