「そしたらさ、先輩たちのあたしへの悪口なんて、どうでもよくって全然気にならなくなっちゃって。あー、なんか言ってんなーくらいにしか思えなくって。それに、先輩側じゃない人たちは、『前よりもうまくなってない!? 休んでた間もちゃんと練習してたんだね!』とか、『コンクールは麗奈に任せた!』なんて言ってくれてさ」

「え! それはよかった……!」

「うん、そうなんだ。……なんかさ、ちゃんと頑張っているのを見てくれてた人はいるんだなって思えて、嬉しかった」

「そうだよ! ってか、私だってちゃんと見てるんだからね?」

 ちょっと冗談っぽく私が言うと、麗奈はくすりと小さく笑う。

「うん、知ってるよ。……本当にありがとう。ねーちゃんも、千早くんも。ふたりが応援してくれたおかげで、すっごく自信持てた。千早くんにも、お礼言っといてね」

 ゆっくりとそう言った麗奈の笑顔は、本当に心から千早くんに感謝しているように見えた。

「もちろん、ちゃんと言っておくよ。千早くんも喜んでくれると思う!」

 私が満面の笑みを浮かべると、なぜか麗奈は途端にニヤニヤし始めた。

 そして、からかうようにこう言った。