遊園地から帰宅してからも、千早くんのことで頭がいっぱいの私。

 お母さんとお父さんは、確か夕方まで買い物に行くと言っていた。

 麗奈も部活から帰ってきていないみたい。

 私ひとりきりのリビングは静寂に包まれていた。

「かわいい」とか「好き」とか言っている時の千早くんを思い出し、相変わらずドキドキしてしまう私。

 だけどやっぱり、「ちぇりー」問題をふと思い出すと、憂鬱な気持ちも湧き出てきて。

「はあ……」

 リビングのソファに身を預けながら、私は深くため息をついてしまった。

 ――すると。

「ただいま~」

 麗奈が部活から帰ってきたらしく、リビングに入ってきた。

 今日は日曜日だけど、麗奈の入っている吹奏楽部は大事なコンクールや演奏会があると、休日返上で一日練習があることが多い。

「お、お帰り。遅かったね」

 千早くんのことでぼんやりとしていた私だったけれど、鋭い麗奈にまたなにか突っ込まれる気がしたので、慌てて平静を装ってそう声をかけた。

「あー……、うん」

 珍しく歯切れの悪い声で返事をする麗奈。

 どうしたのだろうと、私は麗奈の顔を見る。