からかうように言うけど、やたらと私の表情について具体的だから、やっぱり本当みたいだ。

 恋……?

 私が千早くんに、恋?

 私千早くんを、好きになっちゃったの?

 いやいや、まさか。

 だって、あんなにかっこいい人がやたらと好きとかかわいいとか言ってくるから。

 恋愛慣れしていない私は、どうしたらいいかからないだけじゃない?

 そう考えた私は、やっとのことで桜子にこう言った。

「ま、まだ好きってわけじゃないと思うよ」

「えー、まだ認めないんかーい。……ま、恋愛に耐性の無い亜澄だもんなあ。でも千早くんのこと嫌いじゃないでしょ? ってかぶっちゃけ好き寄りでしょ?」

「……まあ。好きか嫌いかで言ったら、断然好き――あっ、でも友達としてね! 一緒にいて楽しいし!」

 断然好きなんて言ったらもう恋しているも同然だ。

 まだそういうことにはしておきたくない私は、必死にそう弁明する。

「時間の問題って感じじゃん……。早く付き合えばいいのにもう」

 じれったそうに桜子は言う。

 私は苦笑いだ。

 だって、そう簡単に好きって認めたくないんだよ。