楽しそうに話す千早くんの様子に、私はもう平気そうだなって安堵した。

 ――だけど。

「あ、でもやっぱりまだ寒いかも」

 なんて千早くんが急に言い出して、私は一気に心配になる。

「えっ、だ、大丈夫!? もう一杯温かい飲み物頼もうかっ?」

「いや、それは別にいいや。その代わり……」

「その代わり?」

「亜澄が俺のこと、温めて」

「えっ!?」

 不敵に笑ってとんでもないことを千早くんが言ってきたので、私はうろたえて裏返った声を上げてしまう。

はっ!?

 どういうこと、温めるって、ええ!?

 自然といかがわしい想像をしてしまって、私は顔を真っ赤にしてしまう。

 ――すると。

「あはははは! おかっしー。マジかわいい、やばい」

 千早くんが急に爆笑し始めたので、私は目が点になる。

「ごめんごめん、冗談だよ。ほんと、こういう時にすぐ赤くなんのな」

 笑い過ぎたのか目にうっすら涙を浮かべながら、千早くんが言った。

 えっ、冗談!?

「……もう!」

 本気で寒いんじゃないかって心配したのに!