無料券が使えるカフェに千早くんとふたりで入った後。

 私たちはホットのカフェラテを頼んで、席でくつろいでいた。

 千早くんの髪も服もだいぶ乾いてきたようだったけれど、借りたブランケットを膝にかけている。

 まだ寒いのかな……。

「千早くん、大丈夫? 体冷えちゃった?」

 カフェラテをすすりながら私が尋ねると。

「あー、まあもうだいたい大丈夫。そんなに心配しないで」

 と、いつものマイペースな調子で千早くんは言う。

 確かに顔色が悪いわけでもないし、寒そうにしている感じはないけれど。

 なんとなく千早くんって、本当は寒くても私に気を使って「大丈夫」って言うキャラなんじゃないかって気がして。

 やっぱりちょっと心配に思った私だったけど――。

「ってかさ。無料券もらえてラッキーじゃね?」

 千早くんは悪戯っぽく笑う。

 あ、なんかこの調子なら本当に大丈夫かな?

「それは確かに……。タダでカフェラテ飲めたもんね。しかも、私の分までくれて」

「だよなー。逆に濡れてよかったかも?」

「あはは、そう?」