きっと、このような状況でなければ頬が落ちてしまいそうなほどのおいしさを感じていたのだろう。今の萌花には、味を感じる余裕などなく、目から涙が溢れてくる。

「……家に、帰りたい……」

泣き始めた萌花を見て、和馬は困ったような顔をしてフォークをテーブルの上に置く。そして萌花を優しく抱き締め、「それはできないよ」と囁くように言った。

「萌花が行方不明だって話、毎日のようにワイドショーで報道されてるんだよね。そんな汚い世界に萌花を放り出す気はないよ」

大きな手で頭を撫でられ、萌花は慌てて和馬から逃れようと彼の胸板を自身の細い腕で思い切り押す。だが、周りの女の子より背が高いとはいえ、女性の力は男性には敵わない。

あっという間に萌花は部屋にあるシャワールームに連れて行かれ、服を着たまま頭からシャワーをかけられる。驚いた萌花が息を吸うために口を開けると、素早くその口は和馬の唇によって塞がれた。

「んっ……んんっ……ふぅっ……」