【麻衣SIDE】


 
「いいか、お前はここでおとなしくしてろ。 もしもここから逃げようとなんてしたら、お前を殺す」

 警察や一織がいなくなった隙に、犯人は私を拉致してとある倉庫に監禁した。

「あなたは本当に……私を殺すつもりなんですか?」

 椅子に座らされ、ロープで身体をぐるぐる巻かれた私は、身動きすら取ることが出来ない。

「だから、そうだって言ってんだろ!?」

 犯人は怒りをぶつけるかのように、私にナイフを向けてくる。

「……私を殺したら、あなたは殺人犯になります。 それでも、いいんですか」

 本当はナイフを向けられているから、すごく怖い。怖くて身体が震える。
 でもそれでも、私は耐え抜いてみせる。一織が助けに来てくれることを信じてーーー。

「俺に口答えするな! お前は黙って俺の言うこと聞いておけばいいんだよ!」

 犯人はさらに怒りを顕にして、近くにあった一斗缶を蹴り飛ばした。

「……っ」

 ダメ……怖い……。怖くて泣きそうになる。
 一織……。一織……。助けてーーー。

「お前はしばらくここに閉じ込めておく」

「えっ!?……あ、ちょっと!?」