【一織SIDE】
   


「麻衣……」

 麻衣はアイツに捕らえられたまま、そこにいる。 きっと体は震えて、怖い思いをしているに決まっている。
 なんとかして助け出さないと……。でもどうすればいい?

「来栖さん、早く麻衣を助け出さないと! 麻衣が……!」

「分かってる!」

 俺はいつになく焦っていた。 麻衣が危険な目に遭っていると、分かっているからかもしれない。
 だけど、俺には今どうするべきなのか冷静になれないでいるのもまた、事実だ。

「なんとかして、麻衣を助け出さないと……」

 犯人が麻衣と何か話している様子は所々見えるが、何を話しているのかまでは分からない。

「……やはりその美由紀って女を、探し出すしかないか」

 来栖さんが、そう言ってきた。

「おい!その美由紀って女は、今どこにいるんだ!?」

「知るか!今日はここにいるって書いてあったから、来たんだよ! 金を取り戻すためな!」

 犯人は、そう俺たちに話した。
 
「……おい、一織。すぐに美由紀って女を探し出すぞ」

「探すって……どうやって?」

「犯人から情報を引き出すしかない」