「橋本美由紀? 君との関係は?」

 もう一人の刑事さんが、そう聞いてくる。

「元カノだよ! あの野郎は、俺の貯めてた金を持ち逃げしやがったんだ!」

 持ち逃げ……。その人が、あなたのお金を?

「どういうこと、ですか……?」

 と、私は彼に聞いた。

「あの女に騙されたんだよ、俺は」

「騙された? それ、どういうことですか……?」

 騙されたって……。どういうことなの?

「あの女は詐欺師だったんだよ」
 
 え、詐欺師……? ってことは、この人はその美由紀って人に騙されたってこと?
 ナイフの影が見えながら、私はひっそりとそう思っていた。
 
「あの、詐欺師って……」

「俺はあの女にまんまと騙されたんだよ。 アイツには、結婚したいとまで言われてたのに」

 その詐欺ってまさか、結婚詐欺ってこと……?

「それって結婚詐欺……ってことですか?」

「ああ、そうだよ」
 
 そう問いかけると、その男性は返事をした。

「あなたはどうして、それが詐欺だって分かったんですか?」

「急に連絡が取れなくなったんだよ。 しかも金まで持ち逃げされたしな」