大丈夫、一織なら必ず私を助けてくれる。 だって一織は、世界でたった一人の私のヒーローだもの。
 一織なら助けてくれる、絶対に。

「あなたはなぜ、こんなことをするんですか?」

 私は思い切って、その男性にそう問いかける。

「お前には関係ない。引っ込んでろ!」

 そして私は、その言葉と同時にナイフを首に向けられる。

「関係なくないです。私は人質ですよ?……何でこんなことをするのか、私には知る権利があります」

「うるせぇ!黙ってろクソ女! 本当に殺すぞ!?」

 そう言われた私は、黙るしかなかった。

 一織……。早くなんとかして。
 そう祈ることしか、私には出来ない。

「おい、その人は何も悪くないだろ! 離してやってくれ!」

 そして一織は、犯人に向かってそう叫んでいた。

「お前の要求はなんだ?話をしよう、な?」

「美由紀を連れて来い!」

 美由紀……? その人は、美由紀をつれて来いと言っていた。
 
「美由紀? 誰だそれは!?」

「橋本美由紀を連れて来い! そしたらこの女も開放してやる!」

 橋本美由紀さん……。その人とは、どういう関係?