そして麻衣は、俺にそう言ったんだ。
 ーーー力強い目で、そう言ったんだ。

「麻衣、ここは危険だ!」

「分かってる! でも私、やっぱり……一織と一緒にいる。離れたくないの!」

 麻衣のその真剣な眼差し、もしかしたら初めて見たかもしれない。
 こんな顔の麻衣……初めてだ。

「……麻衣」

「言ったでしょ!私、一織を失いたくないの!……だから私も、逃げない。一織と一緒にいる」

 麻衣の真剣な表情を見たら、何も言い返せなくなっていた。

「……分かった。 お前は俺が守る。絶対に離れるなよ」

「うん」

 これが麻衣の気持ちなんだと思ったら、俺は麻衣には何も言えない。
 麻衣にはいつも心配ばかりさせている。 だから今度は、俺が麻衣を守ってやる番だな。
 
 俺は麻衣を、全力で守る。……麻衣を絶対に傷付けさせたりはしない。
 例えこの命に変えたとしても、麻衣を守り抜いてみせる。

 ーーー俺の大切な人を、絶対に守るんだ。

「なあ、頼むからその人を開放してくれないか?」
 
 と、来栖さんが言葉を放つ。

「はあ?開放する訳ねぇだろうが! コイツは人質だぞ!?」