「夏、危ない!」
「えっ?」
ドンッ
体育の時間。春輝君に名前を呼ばれ振り向くと、サッカーボールが顔面に当たり、後ろに倒れた。
「夏、大丈夫?」
「ドジだな~。夏は」
心配そうに駆け寄ってきてくれた春輝君の後ろから冬真が現れ、頭をはたかれた。
「イッタ!何すんの」
「冬真、女の子には優しくしないと」
春輝君の注意を冬真は鼻で笑い飛ばした。
「春輝。こいつは女子じゃない。だまされてるよ」
「女子です!」
立ち上がり、冬真の頭を叩こうとしたが間に合わず、逃げられてしまった。
「逃げ足だけは早いんだから」
私が呆れた声を出すと春輝君はおかしそうに笑い、ボールを持って戻って行った。