バラバラ
机の上にトランプがばらまかれる。
「はい。陽奈の負け」
「え~」
「しょうがないよ。陽奈」
放課後の誰もいない教室に女子3人の声が響く。
「ねえねえ、美貴。罰ゲームはどうするの?」
私の隣に座っている楓が楽しそうに身を乗り出して聞いている。
「う~ん。そうだな…」
先程、私に負けを宣告した美貴が顎に手を当て、真剣に考えている。
「えっ?罰ゲームなんてやるの?」
私は慌てて2人に聞いた。
「当たり前じゃん」
美貴の目はキラキラと輝いており、楓も隣で大きく頷いている。
「え~」
「文句言わない!じゃあね~。陽奈、クラスに苦手な人っている?」
「えっ?苦手な人?」
首を振ろうとしたが、視線が自然と窓際の席に向いた。「ふふ。陽奈は分かりやすいな~。そっか、沢木君が苦手なんだね」
「別に」
私が視線を向けた席の主人は沢木誠といい、いつも本を読んでいて誰に対しても敬語をはずさない、陽奈にとっては不思議でしょうがない奴だ。
「じゃあ、罰ゲームは沢木君と友達になることね!」
「え~!」
今日一番の叫び声が教室に響いた。