本来ならば今日、私は一吹くんにチョコを渡して告白するつもりだった。

だけど、正直今はどんな顔をして一吹くんと会ったらいいのかわからない。

だから、約束は延期してもらった。


一吹くんが沖縄から帰ってくるまでにちゃんと気持ちの整理をつける。

そしたら、いつもどおり笑顔で話せると思うから……。




生チョコとガトーショコラを作り終えた頃には日が沈み、初ちゃんはソファの上で小さな寝息を立てていた。

疲れただろうし、田崎くんが迎えに来るまでこのまま寝かせておいてあげよう。

時々、初ちゃんの様子を覗いながらラッピング作業を進める。

途中、田崎くんから『マンションの下に着いた』と連絡が来て、その数分後インターフォンが鳴った。


「田崎くん、お疲れ様」

「成宮ちゃん、今日は本当助かった!ありがとう。初が迷惑かけたりしなかった?」


「全然。楽しかったよ。今、初ちゃん寝てるから声かけてくるね」

「あいつ寝てんの?ごめん、頼みます」

田崎くんを玄関に残し、初ちゃんを起こしに行く。


「初ちゃん、お兄ちゃん来たよ」

「んー」


寝起きの初ちゃんは玄関まで歩くと「疲れた〜眠たい。歩きたくない」とその場に座り込んだ。