【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜



 それから一週間後には、裕太さんのスポーツウェアのデザインが完成し、その見本が届いたようだ。

「愛南、見てごらん」
 
「ん?」

 視線の先にあったのは、小さなダンボールであった。

「出来たんだって、サンプル」  

「えっ、もう出来たの?」

 中身を見させてもらうと、とても素敵な色合いのスポーツウェアが入っていた。

「わ、素敵……」

 ふと呟いた私に、裕太さんは「本当に?」と首を傾げる。

「うん、すっごく可愛い」

 スポーツウェアは二色あって色が違うみたいで、ネイビーとパープルの二色あった。

「ネイビーもパープルも素敵だね」

「それは嬉しいな。 愛南が意見をくれたから、ジェンダーレスをテーマにしたんだ。ネイビーもパープルもどちらでも抵抗なく着れるようなスポーツウェアにしたくて」

 そういうのは、本当に素敵だ。ジェンダーレスという今の時代だからこそ、性別にとらわれず、何より着る人のイメージをしっかり作れたからかもしれない。

「本当に素敵です。これなら、誰でも着やすいですよね」

「そう言ってもらえると嬉しいな」

 裕太さんはちょっとだけ安堵したような表情を見せている。

「ちなみに愛南はどっちを選ぶ?」