【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜



「愛南、やっぱりいいニオイする」

「シャンプーですか?」

「そうかも。いい香り……」

 裕太さんは私をそっと抱き寄せて、耳に顔を寄せる。

「ん、くすぐったいっ……」

 私の耳に口づけをする裕太さんは、今度は私の唇にキスをしていく。

「ん……んっ、ゆっ……たさん」

 裕太さんの唇が離れると、裕太さんは「俺もお風呂に入ってくるよ」と、バスルームへと向かって歩き出す。

「もう、キスするなんてずるい……」

 裕太さんからキスされるとほんとに幸せで、嬉しくなる。 ドキドキもするし、緊張もする。
 でもそのたびに、裕太さんのことが好きなんだと自覚する。 この感覚は……まるで魔法だ。

 なんて言えばいいのかは分からないけど、この気持ちば好ぎ以上のものだ。 
 そう、愛莉が言っていた。裕太さんと婚約したことが決まったと言っていたあの日、愛莉は言っていた。

【私ね、裕太さんのこと本気で愛してるんだ】

【本気で……愛してる?】

【好きという言葉では語れないの。……ずっと大切にしたいと思えるくらい、本気で彼のこと愛してるの】

 愛莉が言っていた言葉を思い出して、私も気付いた。
 私も裕太さんのことを゙愛している゙のだと。