【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜



 髪の毛や身体を丁寧に洗い、湯船に浸かりながら、一日の疲れを取るのが好きだ。
 バラだけじゃなくて、ジャスミンやラベンダーなど色んな香りの入浴剤を集めるのも私の趣味なので、毎日違う香りを楽しんでいる。

「よし、そろそろ上がろうかな」

 四十分くらいお風呂に浸かった私は、お風呂から上がりパジャマに着替える。

「あ、裕太さん」

 リビングに戻ると、キッチンに裕太さんが立っていた。

「愛南、お風呂入ってたんだ」

「うん。……裕太さんは、もう仕事終わりそう?」

 髪の毛をタオルで拭きながらそう聞くと、裕太さんは「ん、もう少しで終わるよ」と笑みを向ける。

「そっか。無理しないでね」

「分かってる。 ありがとう、おにぎり美味しかった。お味噌汁も」

 裕太さんは食器を片付けていたんだ、と思いながら、私は「良かった」と笑った。

「愛南のおにぎり食べたら、元気出たよ」

「なら良かった」

 私は裕太さんに喜んでもらえるのが、一番嬉しいから。そばにいて良かったと思うし、そばで支えていけたら、それが嬉しいと思う。

「ごちそうさま」

 まだ濡れている私の頭を、優しくタオルで拭いてくれる裕太さんに、私は「はい」と返事をする。