【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜



 裕太さんはそれから、仕事部屋に閉じこもっていた。 スポーツウェアのデザインを考えているようで、かなり悩んでいるようであった。

「裕太さん、おにぎり作ったんだけど食べる?」

「おにぎり?頂くよ」

 仕事で詰まっている裕太さんをなんとか元気付けたくて、おにぎりを用意した。

「入りますね」

 裕太さんの部屋に入ると、裕太さんは私の方に振り返り「愛南、ありがとう」と笑顔を向ける。

「いえ。 じゃあ、仕事頑張ってください」

「ありがとう」

 部屋を出ると、私は扉を閉めリビングへと戻る。

「裕太さん、頑張ってるな」

 他にも仕事を抱えている裕太さんは、その仕事の合間を縫ってスポーツウェアのデザインを考えていた。
 メインの仕事はもうすぐ終わるようで、それが終わると少し休めるようだけど、毎日忙しいから身体が心配だ。

「……お風呂、入ってこようかな」

 裕太さんの邪魔をしないように配慮しながら、私も家の中で生活していた。

「裕太さん、お風呂入ってきますね」

 とだけ告げて、バスルームへと向かう。

「ふぅ……気持ちいい」

 バラの香りのする入浴剤を入れると、いい香りに包まれて疲れた身体を癒やしてくれる気がした。