「愛南、これなんかどう?」

「ええっ、これ?」

 結婚式を挙げようと計画を立ててから、私たちはウェディングドレスや式場などを、ネットで探したり、現地に行って決めようとしていた。

「こういうの、似合いそうだ」

「そうかな?」

 結婚式を挙げるなんて、あの頃の私は想像もしてなかった。

「愛南はスタイルいいから、Aラインとかが似合いそうだな」

「本当?」

 ウェディングドレスか……。ウェディングドレスを着れる日が来るなんて、思ってもなかったな。
 本当ならウェディングドレスを先に着るのは、愛莉だったはずだから。

 でも愛莉はもういない。だから私は、愛莉のいない寂しさを埋めるように、裕太さんとの結婚を決めた。
 裕太さんとは身代わり結婚だったから、そこに愛が生まれるなんて思ってなかったけど、ちゃんと愛は生まれた。
 
 私は幸せになった。 これが愛莉の望んでいた幸せなのかどうかは分からないけど、私にとってこれが幸せだと思えた。
 小さなことでも幸せに思えるのは、裕太さんとだからだと思う。

「……愛南? どうかした?」

「え……? あ、ううん。なんでもない」
 
 愛莉は望んでくれるかな、私のウェディングドレス姿?