【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜

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「ただいま」

 店長に挨拶して帰宅すると、裕太さんの姿が仕事部屋にあった。

「……裕太さん?」 

 ちょっぴり空いた部屋のドアの隙間から、そっとのぞき込んで見る。
 見えるのは裕太さんの後ろ姿だ。パソコンとにらめっこしているようで、その真剣な後ろ姿にドキドキした。

 やっぱりまだ仕事中か……。そう思い、私も部屋へ戻る。

「夕飯、何にしようかな?」

 私は夕飯を作るため、キッチンへと向かう。冷蔵庫を開け、夕飯の材料をチェックする。

「しまった……」

 買い物をしてくるのを忘れてしまったようで、冷蔵庫の中にはほとんどお漬物や卵、納豆くらいしかなかった。
 これじゃ何も作れないね……。

 どうしようかと悩んでいた時、裕太さんの部屋のドアが開いた音がした。

「お、愛南? 帰ってきてたのか」

「うん、さっき」
 
 裕太さんは「そっか、気付かなくてごめん。 おかえり」と私に言ってくれる。

「ただいま」

「何してたんだい?」

 そう聞かれ、私は「あ、夕飯を作ろうと思ったんだけど……買い物してなくて何もなくて、どうしようかと悩んでた所なの」と答える。

「じゃあ、出前でも取る?」