「さ、お腹減ったろ? 夕飯、食べよう」

「……は、はいっ」

 いきなり二回もキスをされて、私の心臓はうるさくなっている。 

「いただき、ます」

「どうぞ」

 今日は裕太さんが夕飯を作ってくれた。私の大好きなかぼちゃの煮物と、ほうれん草のお浸しと、お味噌汁に雑穀ごはんだ。

「ん、おいしい……。優しい味がする」

「良かった」

 裕太さんの作るご飯は、栄養バランスも考えられていて、優しい味付けだ。
 食べるだけでなんだか、心までホッとする。

「裕太さん、料理上手ですね」

「そうか?」

「はい。……おいしいです、本当に」

 仕事を終えた一日の終わりに、こんなに美味しい料理を食べれるだけで、私は幸せだと思える。

「たくさん食べなね」

「はい」

 お味噌汁もお浸しも、全部ちょうどいい味付けで、私には出来ない味かもしれない。
  
「裕太さん、今日どうでしたか?お仕事」

「まあまあかな。 別の仕事もあったし」

「そうですか」
 
 本当に忙しいんだな、裕太さんは。

「愛南は、どうだった?」

「私も、まあまあでしたね」
 
「そっか」

 と、裕太さんは笑う。