「愛南、おはよう」

「おはようございます」

 結婚してから数週間、私たちは夫婦としての道を歩んでいる。

「愛南、寝癖付いてる」

「えっ、ウソッ!?」

「ハハッ!冗談だよ」

 朝からそんな冗談を言ってくる裕太さんに、私は度々驚かされている。

「もう、裕太さんってば……」

「愛南は面白いな、本当に」

「えぇ……面白いですか?」

 裕太さんの言う面白いという言葉が、未だによく分からない。

「面白いよ、愛南は。愛莉も面白かったけど」

「……愛莉も?」

 愛莉も面白かったって、なんだろう? 愛莉は可愛くて、とても暖かかったけど。

「そうだ。愛莉は本当に優しくて、いつも俺を笑わせてくれたりしたんだ」

「愛莉が……?」

「ああ。愛莉は面白いことが好きだったから」

 確かに愛莉は、面白いことが好きだった。お笑い番組も好きで、よく見ていたし。

「大好きなお笑い番組を見て、愛莉はいつも笑ってました。 大好きな芸人さんが出てると、喜んで見てたなぁ」

「愛莉は本当に、面白いことが好きだったもんな」

 愛莉が大好きな番組を、私は今でも録画してしまっている。