【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜



 もちろんこの結婚は、私から持ち掛けたものだ。 でもそんな私の提案を、受け入れてくれた裕太さんもまた、幸せになりたいんだなと思えた。

 愛莉と幸せな家庭を築きたいというその思いは、私にもすごく伝わった。
 大好きな人と結婚できる喜びは、計り知れないものなんだって、思い知らされた。

「愛南。 俺は愛南との結婚生活、楽しみたいと思ってる」

「……え?」

 そう。利害が一致したから、私たちは結婚する。 でもそれでも……そこにお互いに幸せになりたいっていう思いがあるのだと分かった。

 大好きな人と結婚出来なかった愛莉の分まで、私は愛莉に夢を見させてあげたい。
 ねぇ愛莉、愛莉の幸せ……私にも分けてね。

「ちゃんと夫婦になろう、俺たち。 お互いを愛する幸せな夫婦に」

「……裕太さん」

 私は裕太さんと幸せになれるその日まで、夢を見てみたいな。

「だから夫婦で出来るだけデートもしよう。二人で旅行にも行こう。 手を繋いだり、抱き合ったり、笑いあったり、時にはケンカもしよう。……そうやって俺たちは、夫婦になっていこう。俺たちなりの歩き方でさ」

 私たちなりの……歩き方で。