【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜

◇ ◇ ◇

 


「裕太さん、これ……サインしました」

 それから数日後の午後、私はサインと捺印を押した婚姻届を手に、裕太さんとカフェで待ち合わせていた。

「じゃあ不備がないか、確認するから」

「はい」
 
 お互いの名前や住所など、不備がないかを確認していく。

「大丈夫そうだな」
 
「……はい。そう、ですね」

 婚姻届に不備は、なさそうだった。

「じゃあこれを、明日出しに行こうか。……二人で」

「二人で……?」

「そうだ。二人で」

 二人で婚姻届を役所に出しに行くことを、決めた私たち。

「裕太さん……これから、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくな愛南」

「愛南……」

 裕太さんに゙愛南゙と呼ばれると、なんだか変な感じがする。

「愛南は本当に、俺の妻になるんだな」

「……はい。ですね」

 本当に私たちは、夫婦になるんだ。 まだ実感がないけど、私たちはこれからどんな夫婦になっていくのだろう……。
 全然想像が付かないし、その先の未来が全然分からない。

「妻になるからには、愛南のこと……愛せるように努力するから」

 と、裕太さんは言う。