「……ありがとう、お母さん」
「ねぇ愛南、あなたの幸せのことを思って言うけど……。あなたを愛してくれる人が、他にももっといるんじゃない?」
お母さんの言葉は、ごもっともだ。 もしかしたら、そうなのかもしれない。
「……私も、そうなのかもしれないと思うよ」
「なら、どうして?」
お母さんの言葉に、私はなんて答えればいいのか分からなかった。
「……それが愛莉にとっても、いいと思ったからだよ」
「え……?」
「私が幸せになって、裕太さんがまた笑ってくれるなら……。愛莉だってきっと、幸せだと思えるかもしれないから」
私が愛莉にとっての幸せになってあげたい。愛莉が向こうで笑っていけるようにーーー。
「……愛南」
「私はね、お母さん。愛莉の笑顔が本当に大好きだったんだ。 愛莉はいつも明るくて、私を元気付けてくれて……。双子の姉だからこそかもしれないけど、愛莉は私の太陽みたいな人だった。……だから私も、愛莉が笑ってくれるように、何かを残したいの」
それで思い付いたのが、裕太さんとの結婚だった。 愛莉が裕太さんと結婚して幸せになったら……っていう夢でしかないけど。



