私はその言葉に、涙を零した。
 
「……私、幸せになりたいです」

「なればいいよ、幸せに。 俺も、愛南と幸せになりたいから」

 裕太さんだってきっと、愛莉のことを深く愛していたはずだ。それでも私の提案を受け入れてくれた裕太さんに、私は感謝しかない。
 ごめんね、愛莉。愛莉の大切な人を奪うようなことをしてしまって。私もね、自分でも何してるんだろうなって思ってる。

 でも私、裕太さんと幸せになることで愛莉が喜んでくれるんじゃないかって、そう思ってるんだ。
 こんなのは、私のエゴかな……? 

「ありがとう、裕太さん」

「ん。 じゃあクレープ食べようか」

「……うん」

 裕太さんと夫婦になって改めて思うのは、裕太さんは優しすぎるってことだ。 裕太さんはこんな私でも愛してくれた。
 ちゃんと、愛してくれたんだ。 愛莉の身代わりだからじゃなく、この私を。
 
「ん、美味しい」

「美味いな」
 
「うん、甘いクレープってやっぱり美味しい」

 愛莉ともよく、甘いクレープ食べてたな。私はイチゴチョコで、愛莉はバナナチョコをよく食べていた。 
 愛莉のバナナチョコをよく一口もらって、食べ合いっこみたいなのをしてたな。……懐かしい。