「初めまして。あなた、とっても素敵な魔力を持っているのね。」

田舎の村に似つかわしくない綺麗な女性を見た時、声をかけられたセドニーは夢心地になった。まるで女性自身が精霊か天使か、眩い高貴な存在の様に思えて胸が高鳴ったのを覚えている。

そのときめきは次第に憧れへと変化しても何の違和感もなかった。それ程にその女性は素晴らしい魔女だったからだ。

女性は魔女ラリマと名乗った。そしてセドニーにこう告げたのだ。

「あなた、きっといい魔女になるわ。私の元にいらっしゃい。」

まだ小さな田舎の村だけが世界の全てだったセドニーはこうして広い世界へと足を踏み出した。

そこはまるで本の中で見た世界だった。
いつだって彩りあふれた世界に憧れていた。

たくさんの薬草や花に囲まれて、漏斗からは色鮮やかな液体が少しずつ零れ落ち、試験官はそこから炎を充てられて中の液体を沸々させている。

いくつもの種族の精霊が自由に行き交い、自由に食べてくれと置かれた甘いお菓子を頬張っていく光景は決して通常ではない。でもこの店の中では至って普通だった。

ここは魔法屋。

ちょっとした薬やお守りなどを扱っている店だ。そして占いを行っている店でもある。むしろそれが本業だろう。

店の中をパタパタと忙しく動き回るセドニーは魔法屋の見習い魔女になった。

あの時セドニーを見つけ出してくれた魔法屋の魔女ラリマの弟子として。