「えー。二学期からこの学校に転入してきた、暁玲人くんだ。知ってる人もいるだろうが、まあ、皆で仲良くしてくれ」

そんな説明と共に、男子生徒がお辞儀をする。

「暁玲人です。どうぞよろしくお願いします」

その声は、何時か生で聞きたいと思っていた玲人の声で、はにかむように笑うその笑顔は、今まで画面越しに見つめ続けてきた玲人の笑顔そのもので、何より全身から放たれるアイドルオーラが、その男子生徒を玲人その人たらしめていた。

ざわざわどころではない。キャーとかギャーとかわめく女子の声に混じって、芸能人マジかよー、と騒ぐ男子の声。そんな中、玲人は憧れの『普通の高校生』の始まりを満喫しているのか笑顔を崩さず、担任の声に促されて席に着いた。



……空いていた、あかねの隣の席に。