「暁くん、これ三番テーブル」

「はーい」

キッチンコーナーからクッキーと紅茶を渡されてサーブする執事服の玲人は本当に麗しい。

教室の外には長い入室待ち行列ができ、入室したお客さんはみんな玲人に見惚れたり、その所作の美しさにため息を吐いたり、それから写真もバシャバシャ撮っている。

それらのことに全然嫌な顔をしないで画面の向こうで浮かべていたのとおんなじ笑顔を振りまいている玲人は、あかねから見ると少しサービスに徹しすぎと思えたくらいだった。

玲人が楽しんでいるなら良いけど、芸能人だった習慣が出ているのだったら、折角普通の高校に転入した意味がない。あかねは玲人が汗を拭きにキッチンコーナーの裏に隠れた時に声をかけた。