推しが級友なんて聞いてません!!

驚いてた。

玲人は驚いてた。

そして、あ、やっぱり、って言う顔をしてた。

そうだよね、どう考えても『FTF』がターゲットとする女子高生で、ミリオンセラーを連発している『FTF』を知らないわけがなかったんだよね。あかねの設定に、そもそも無理があったんだ。

『ごめん、本当はファンだったの。でも玲人くんの意思を尊重する。絶対にまとわりつかないし、ミーハーな行動はとらない。だから一緒に『普通の高校生らしく』高校生活満喫して欲しい』

あかねに言えたことはそんな懺悔だけだった。

玲人は、いいんだよ、と笑ってくれたけど、害がないと思ってくれた相手が実はファンでした、っていうオチは、玲人を二重に裏切ったことになるだろう。

(明日から、どんな顔で会えばいいの……)

推しの願いを叶えられないファンなんて、存在価値はない。あかねはひたすら暗く落ち込んだ。