「あーーーーーーーーーーーーーー、終わった…………」



あかねはベッドの上であおむけに倒れて手の甲で目を覆っていた。ベッドの下にはスマホが転がっていて、今までそれはあかねの宝物が詰まった小さな機械だったけど、今は呪わしい機械にしか見えない。

いや。……っていうか、自分がちゃんと消しておかないからいけなかったんだけど!

今日、玲人と一緒に駅まで下校した。駅について玲人はあかねに、なんとラインの交換を申し出てくれたのだ。

びっくりした。はっきり言って予想外の展開だった。

今まで教室での様子を見るに、玲人からラインを交換したクラスメイト及び在校生は居ない。みんな、寄ってたかって玲人のラインを聞きたがっていた。

廊下に群がる女子の中には教室内での玲人の写真を撮る者も居た。あかねは彼らと一緒にならないよう、ラインはおろか、スマホも玲人に向けたことはない。

それが一転、玲人からスマホを差し出してきたのだ。

シルバーの何の飾りも着いていないスマホカバーに覆われたスマホを出されて、あかねは挙動不審になった。

そして慌ててしまって、見せてしまったのだ。……玲人の、とびっきりの笑顔が映った『FTF』時代の玲人の写真がロック画面になっているスマホの画面を。