文化祭が来月に控える中、今日はクラスで文化祭の出し物の選定だ。体育祭は運動の得手不得手で生徒の受け止め方が異なるが、文化祭はお祭りなので、基本的にみんな乗り気だ。このクラスメイトたちとどんな思い出を作ろうかと、皆で知恵を出し合って考える。

「あのう」

ひとりの女子が挙手をして立ち上がる。文化祭委員が意見を求めると、その女子は笑顔でこう言った。

「折角暁くんが居るんだから、彼をリーダーにして執事喫茶とかだと盛り上がりそうだし、お客さんもたくさん来てくれると思います」

女子の発言に、クラス中が色めきだった。

未だに休み時間には玲人の顔を見ようと、主に女子が廊下に鈴なりになっている状態だ。それを思えば、彼を祭り上げるだけで集客効果はばっちりだろう。

その考えはクラス中に共有されたらしく、いいね! とか、じゃあ他の執事も厳選して、なんて言葉が飛び交う。

そんな中、玲人は恐縮した様子で笑っていたが、あかねには玲人が考えていることが分かってしまった。