今までは玲人に願いや希望があったって、それを叶えてあげる術はなかった。でもひょんなことから転がり込んだこの状況で、あかねはそれが出来るチャンスを貰った。

だとしたら、あかねが推しの為に尽くすことは、ファンとしては当然の行為ではないか?

「そっか。変なこと聞いてごめんね。じゃあ、暫く勉強でお世話にならせてほしいな。頑張ってこの学校の進みに追いつくようにするから」

「うん。そんなこと、何時でも言って」

あかねの言葉に玲人がありがとう、と応える。そんな個人的なやり取りに、『推しからの!!! 頼み事!!!』と、人生の最大目標が出来た。

絶対にあかねが玲人を推してることがばれないようにしないと。あかねはその日、玲人と一緒に校門をくぐった。