「今や時の人だね、暁くん」

優菜がぽつりとウズラの卵を口にしながら言った。お昼休み、優菜と二人でお弁当を囲んでいる。玲人はクラスメイトの男子と購買部へパンを買いに行っていた。転校から五日目、少しこの高校のことも分かってきたようで、パンを買いに教室を出ていく姿にもなじんで……。

「る訳ないじゃない……っ!! 相変わらず玲人くんは煌めきオーラ100%の純然たる貴公子アイドルのままじゃない!! こんな平凡な高校に埋もれるような宝玉じゃないのよ!!! この国民の宝を、こんなありふれた生活の中にうずめて良いものなの!?!? 否、良くない!! 私は奇跡の宝玉に、何時までも輝いていて欲しい……!!!」

「あかね、心の声、駄々洩れだから」

優菜に指摘されて、あかねは口をつぐんだ。そしてハンバーグをひとかけら口にすると、でも仕方なくない!? と反論した。