桜が咲く頃に、私は

私がそう呟くと、空が首を横に振ったのがわかる。


「違う。違うんだよ。俺はさ、きっと気付いたんだよ。だから助けないとって思って……でも……」


言葉に詰まりながら、それでも必死に訴える空に、私は何を言えるのだろう。


ただ、空の想いを聞くことしか出来ないよ。


悔やんでも、時計の針をあの日に戻せるわけじゃないんだからさ。


そして、0時が訪れた。


スマホの時計を見ながら、空が満足するまで背中を抱かれたまま待つ。


「早春、俺が良いって言うまで目を閉じてくれ。こんな顔、恥ずかしくて見せられないからさ」


「気にしなくて良いのに。私はさ、生き方は違うけど、夢ちゃんに多くの物を残したいって空の想いは……今はわかるから」


そう言いながらも目を閉じて、空の腕を掴んで私の身体から離し、ゆっくりと振り返った。


今日の分のキス。


さっきしたばかりなのに、また命が繋がる感覚に包まれて、今日も生きられるというのが直感でわかる。


私の数字は日が変わって「133」になっているはず。


唇を離し、安堵の吐息を漏らした。


「空は130日を切っちゃったね。もっと命を大事にした方が……」


どんな顔をしているのかと、空が良いと言う前に目を開けると……空の数字は「127」まで減っていたのだ。